Excelパターン 4:シート別分類

Excelシート 12種類のデザインパターン
https://xoblos.hatenablog.jp/entry/2026/09/19/183144

「Excelシート 12種類のデザインパターン」の第4回は、

パターン4:シート別分類 です。

Excelでは、すべてのデータを1枚のシートにまとめる方法もあれば、

年度別
部門別
営業所別
商品区分別

のように、一定の基準でシートを分けて管理する方法もあります。

今回紹介する「シート別分類」は、

同じ形式のデータを、分類単位ごとに別シートへ分ける

デザインパターンです。


シート別分類とは

シート別分類は、1つのExcelブックの中に複数のシートを作り、それぞれに同じ形式のデータを配置する方法です。

たとえば人口データなら、

  • 1975年度

  • 1980年度

  • 1985年度

  • 1990年度

  • ・・・

  • 2019年度

というように、年度ごとにシートを分けることができます。

[画面ショット:人口データ編/パターン4「シート別分類」]

各シートの構造をそろえておけば、

「このシートは2019年度」

「こちらは2000年度」

というように、対象年度を直感的に切り替えて確認できます。


1枚にまとめるか、シートを分けるか

同じデータでも、

すべてを1枚のシートにまとめる方法

と、

複数のシートに分ける方法

があります。

たとえば年度別人口なら、1枚にまとめる場合は、

都道府県 1975 1980 1985 … 2019
北海道 … … … … …
青森県 … … … … …

のようになります。

一方、シート別分類では、

「1975年度」シート

都道府県 人口
北海道 …
青森県 …

「1980年度」シート

都道府県 人口
北海道 …
青森県 …

というように分けます。

どちらが正しいということではなく、

何を見たいか、どう使いたいか

によって適した形が変わります。


シート別分類のメリット

シートを分類単位ごとに分ける最大のメリットは、

目的のデータへ直感的に移動できること

です。

たとえば、

「2026年度のデータだけ見たい」

のであれば、2026年度シートを開けば済みます。

また、

「東京営業所だけ確認したい」

のであれば、東京営業所シートを開く、という使い方もできます。

複数の利用者がExcelを確認するときにも、

シート名そのものが分類ラベルになる

ため、分かりやすい構成になります。


販売データでは分類方法がさらに広がる

販売データでは、シート別分類の使い方がさらに多くなります。

たとえば、

  • 年度別

  • 営業所別

  • 商品区分別

  • 顧客区分別

  • 担当者別

などです。

[画面ショット:販売データ編/パターン4「シート別分類」]

f:id:xoblos:20161123135328p:plain

たとえば営業所別に分ける場合、

  • 東京営業所

  • 大阪営業所

  • 名古屋営業所

  • 福岡営業所

といったシートを作り、それぞれに同じ形式の販売データを配置します。

各営業所の担当者にとっては、自分の営業所のシートだけを確認すればよいため、非常に分かりやすくなります。


各シートの形式をそろえる

シート別分類では、

各シートのレイアウトを統一すること

が重要です。

たとえば営業所別に分けるなら、すべてのシートで、

売上年月 商品区分 商品名 数量 売上金額 粗利

という同じ列構成にします。

東京営業所だけ列の順番が違う、大阪営業所だけ項目が追加されている、といった状態になると、比較や集計が難しくなります。

シート別分類は、

「分ける」ことと「統一する」ことをセットで考える

のがポイントです。


シート名もデザインの一部

このパターンでは、シート名も重要です。

たとえば、

  • Sheet1

  • Sheet2

  • Sheet3

では、何が入っているのか分かりません。

それよりも、

  • 2026年度

  • 2027年度

  • 東京営業所

  • 大阪営業所

  • 法人顧客

  • 個人顧客

のように、内容が分かるシート名にしたほうが使いやすくなります。

また、並び順にも意味があります。

年度なら、

2024年度 → 2025年度 → 2026年度

営業所なら、

北から南
組織順
売上順

など、一定のルールで並べておくと探しやすくなります。


分けすぎると逆に使いにくくなる

シート別分類は分かりやすい一方で、

シートを増やしすぎると管理が難しくなる

という注意点があります。

たとえば、

  • 10営業所

  • 12か月

  • 5商品区分

をすべて組み合わせて、

営業所×月×商品区分

でシートを作ると、

10 × 12 × 5 = 600シート

になってしまいます。

ここまで増えると、目的のシートを探すだけでも大変です。

そのため、

シートで分ける単位は1つ、または多くても少数に絞る

ほうが実用的です。


「年度別」と「月別」では粒度が違う

分類単位を決めるときには、粒度も考える必要があります。

たとえば5年間の販売データがある場合、

年度別なら5シートですが、

月別なら60シートになります。

同じ時間分類でも、

年度単位
四半期単位
月単位

でシート数は大きく変わります。

日常的に見る単位、更新頻度、利用者数などを考えて、ちょうどよい分類粒度を選ぶことが重要です。


集計するときに注意が必要

シート別分類は見る側には分かりやすいのですが、ブック全体を集計する場合には注意が必要です。

たとえば営業所ごとに10シートある場合、

「全営業所の売上合計」

を出すには、複数シートをまとめて参照する必要があります。

シート構造がすべて同じなら集計しやすいですが、少しでも形式が違うと処理が複雑になります。

そのため、

分類用のシートと、全体集計用のシートを分ける

設計もよく使われます。


人が見るには便利、データ処理には工夫が必要

シート別分類は、人がExcelを開いて確認する場合には非常に分かりやすい方法です。

一方で、データをシステム的に処理する場合には、

「どのシートにデータがあるか」

を判断する必要があります。

たとえば、

  • すべてのシートを順番に読む

  • シート名から年度を判断する

  • 特定の名前のシートだけ処理する

といったルールが必要になります。

Excelを業務システムと連携する場合には、

シート構成もデータ構造の一部

として考えることが重要です。


向いている業務

シート別分類は、次のような用途に向いています。

  • 年度別実績

  • 月別報告書

  • 営業所別売上

  • 部門別予算

  • 店舗別在庫

  • 担当者別案件一覧

  • 商品区分別集計

  • 顧客区分別実績

  • プロジェクト別管理

  • 拠点別報告書

共通しているのは、

同じ形式のデータを、分類単位ごとに分けて見たい

という用途です。


シート別分類は「ブック全体を設計するExcel」

第1回の「オートフィルター固定」は、

データを探すExcel

でした。

第2回の「時系列推移」は、

時間による変化を見るExcel

でした。

第3回の「ランキング」は、

対象同士の差を発見するExcel

でした。

そして今回の「シート別分類」は、

ブック全体を分類して整理するExcel

と考えることができます。

ここまでの3パターンが主に「1枚のシートの中をどう設計するか」だったのに対し、今回は、

複数のシートをどう構成するか

という、少し広い視点のデザインパターンです。


xoBlosのブログ 参考記事

制御シートキーワード:シート分割
https://xoblos.hatenablog.jp/entry/2021/01/31/063533

Designer:データを分類して別々のシートに出力する(制御シート)https://xoblos.hatenablog.jp/entry/2016/11/23/152617

データ分類(シート分割)×グラフ生成(効果編)
https://xoblos.hatenablog.jp/entry/2025/10/05/083659


今回のデザインパターン

パターン4:シート別分類

特徴:

同じ形式のデータを、年度・部門・営業所などの分類単位ごとに別シートへ配置する

代表的な用途:

年度別実績、営業所別売上、部門別予算、店舗別在庫、月別報告書など


次回

次回は、

パターン5:グループ・小計

を紹介します。

明細データを分類ごとにまとめ、そのまとまりごとに小計を入れることで、詳細と集計結果を同じシートの中で確認できるExcelシートのデザインです。

GoFデザインパターン × アレグザンダーのパターン・ランゲージ × TRIZ発明原理 対応表

プロンプト

ソフトウェア設計のデザインパターン、建築や街づくりのパターン、類似するTRIZ発明原理を、3列の表にまとめてください。ベースをソフトウェア設計のデザインパターンとした、対応表にしてください。

ソフトウェア設計のデザインパターンには、GoF(Gang of Four)による23の代表的なデザインパターンを。建築や街づくりのパターンには、建築家クリストファー・アレグザンダーのパターン・ランゲージから。

 

生成AI回答

ソフトウェア設計、建築・街づくり、発明・技術革新という3つの異なる分野について、共通する設計思想を抽出した対応表を作成しました。

比較の基準は次の3体系です。

  • ソフトウェア設計:GoF(Gang of Four)の23のデザインパターン(1994年)

  • 建築・街づくり:クリストファー・アレグザンダーらの『A Pattern Language』(1977年)に収録された253パターン

  • 発明・技術革新:ゲンリッヒ・アルトシュラーによるTRIZの40の発明原理

GoFの23パターンを行の基準とし、アレグザンダーの原典のパターン番号とTRIZの原理番号を併記しています。

重要な前提: この表は、3体系に公式に定められた対応関係を示すものではありません。私が各パターンの目的・構造・機能を比較し、類似する原理を対応づけた研究用の試案です。特に建築との対応は、一対一の同義性ではなく、抽象的な設計思想の類似性に基づいています。

1. 生成に関するパターン(Creational Patterns:5種類)

オブジェクトを「どのように作るか」という問題に対する設計パターンです。

GoFデザインパターン

アレグザンダーの建築・街づくりパターン

類似するTRIZ発明原理

1. Abstract Factory(抽象ファクトリ) 関連するオブジェクト群を統一的に生成

No.95 Building Complex(建物群) 複数の建築を、一体性のある建物群として構成する

No.5 併合 関連要素をまとめる。No.33 均質性 相互に適合する要素を組み合わせる

2. Builder(ビルダー) 複雑なオブジェクトを段階的に構築

No.208 Gradual Stiffening(段階的な剛性付与) 建築を徐々に具体化・固定し、早期の硬直化を避ける

No.10 先取り作用 必要な準備を先行させる。No.1 分割 構築工程を分解する

3. Factory Method(ファクトリメソッド) 生成処理を抽象化し、具体的な生成対象の選択をサブクラスに委ねる

No.205 Structure Follows Social Spaces(構造は社会的空間に従う) 具体的な構造を、利用目的に応じて決定する

No.3 局所的性質 部分ごとに適切な機能を持たせる。No.15 ダイナミック性 状況に応じて構成を変える

4. Prototype(プロトタイプ) 既存オブジェクトを複製して新しいものを作る

No.38 Row Houses(連棟住宅) 共通する住居の構成を反復しながら、個別性を確保する

No.26 コピー 既存モデルを複製して利用する

5. Singleton(シングルトン) インスタンスを唯一に制限し、共通のアクセスポイントを提供

No.99 Main Building(中心となる建物) 建物群の中で明確な中心的建物を設ける

No.5 併合 共通機能を集約する。No.6 汎用性 一つの要素に複数の役割を担わせる

2. 構造に関するパターン(Structural Patterns:7種類)

要素を組み合わせて、柔軟で再利用可能な全体構造を作るためのパターンです。

GoFデザインパターン

アレグザンダーの建築・街づくりパターン

類似するTRIZ発明原理

6. Adapter(アダプター) 異なるインターフェースを接続する

No.112 Entrance Transition(入口の遷移) 外部空間と内部空間を段階的につなぐ

No.24 仲介 異質な要素の間に仲介要素を置く

7. Bridge(ブリッジ) 抽象と実装を分離し、独立して変更可能にする

No.218 Wall Membrane(壁の膜) 建物の支持構造と壁面の役割を分ける

No.2 分離・抽出 異なる役割を切り分ける。No.15 ダイナミック性 各部分を独立して変更可能にする

8. Composite(コンポジット) 個々の要素と複合体を統一的に扱う

No.114 Hierarchy of Open Space(開放空間の階層) 小さな空間から大きな空間までを階層的に構成

No.7 入れ子構造 要素を階層的に内包する。No.5 併合 部分を統合して全体を作る

9. Decorator(デコレーター) 既存オブジェクトに動的に機能を付加する

No.160 Building Edge(建物の縁) 建物の周縁に、人が滞在できる機能や空間を加える

No.30 柔軟な殻と薄膜 外側の層を利用して機能を追加する。No.6 汎用性 複数機能を担わせる

10. Facade(ファサード) 複雑な内部構造に対して簡潔な窓口を提供

No.110 Main Entrance(主入口) 複雑な建物への入口を明確にする

No.24 仲介 利用者と複雑な内部機構の間に窓口を設ける

11. Flyweight(フライウェイト) 共通データを共有して資源消費を抑制する

No.38 Row Houses(連棟住宅) 隣接住宅が壁などを共有し、構成を効率化する

No.5 併合 共通部分を統合する。No.6 汎用性 一つの要素を複数用途に共用する

12. Proxy(プロキシ) 代理オブジェクトを介してアクセスを制御する

No.53 Main Gateways(地区の主要な門) 地区の出入口を明示し、内部と外部の境界を形成する

No.24 仲介 代理となる要素を介在させる。No.11 事前の保護 不適切なアクセスや影響を防ぐ

3. 振る舞いに関するパターン(Behavioral Patterns:11種類)

複数のオブジェクトが「どのように役割分担し、連携し、状況に対応するか」を定めるパターンです。

GoFデザインパターン

アレグザンダーの建築・街づくりパターン

類似するTRIZ発明原理

13. Chain of Responsibility(責任の連鎖) 複数の処理主体へ要求を順番に引き渡す

No.127 Intimacy Gradient(親密さの勾配) 公的な場所から私的な場所へ、空間を段階的に配置する

No.1 分割 処理段階を分ける。No.3 局所的性質 段階ごとに異なる役割を担わせる

14. Command(コマンド) 要求をオブジェクト化して保存・実行・管理する

No.120 Paths and Goals(道と目的地) 行動の目的に応じて移動経路を構成する

No.10 先取り作用 実行前に要求を準備する。No.24 仲介 要求と実行主体を分離する

15. Interpreter(インタープリター) 文法規則を表現し、言語の式を解釈する

No.205 Structure Follows Social Spaces(構造は社会的空間に従う) 社会的な利用要求を建築の構成に変換する

No.28 仕組みの置換 表現と処理の方式を変換する。No.24 仲介 記述と実現の間に解釈機構を置く

16. Iterator(イテレーター) 内部構造を公開せずに要素を順次巡回する

No.31 Promenade(散歩道) 連続する空間を歩きながら体験する

No.20 有用作用の継続 要素へのアクセスを連続的に進める。No.1 分割 個別要素を順次扱う

17. Mediator(メディエーター) 複数オブジェクトの相互作用を仲介・調整する

No.30 Activity Nodes(活動の結節点) 複数の活動を結節点に集め、相互交流を促す

No.24 仲介 中間要素によって関係を調整する。No.5 併合 関連する作用を集約する

18. Memento(メメント) 内部状態を保存し、後で復元できるようにする

No.104 Site Repair(敷地の修復) 既存環境の価値を把握し、良い部分を残しながら改変する

No.26 コピー 状態の写しを保持する。No.34 排除と再生 必要に応じて以前の状態を回復する

19. Observer(オブザーバー) 状態変化を関係するオブジェクトへ通知する

No.192 Windows Overlooking Life(生活を見渡す窓) 周囲の活動を視認できるようにする

No.23 フィードバック 状態変化を検知し、関係者に伝える

20. State(ステート) 内部状態に応じて振る舞いを変更する

No.146 Flexible Office Space(柔軟なオフィス空間) 利用状況に応じて空間構成を変更する

No.15 ダイナミック性 状態に応じて特性や動作を変える。No.35 パラメータ変更 条件に応じて性質を変える

21. Strategy(ストラテジー) アルゴリズムを交換可能にする

No.20 Mini-Buses(ミニバス) 固定的な交通方式だけに依存せず、需要に合わせて柔軟に運行する

No.15 ダイナミック性 環境に応じて方式を変更する。No.35 パラメータ変更 条件に応じて動作を最適化する

22. Template Method(テンプレートメソッド) 処理手順の骨格を定め、一部を個別化する

No.95 Building Complex(建物群) 全体のまとまりを保ちつつ、個々の建物を具体化する

No.1 分割 共通部分と個別部分を分ける。No.3 局所的性質 部分ごとに異なる処理を行う

23. Visitor(ビジター) データ構造を変更せずに新しい操作を追加する

No.120 Paths and Goals(道と目的地) 既存の場所の配置を保ちながら、目的に応じて移動・利用する

No.24 仲介 外部の処理主体を介在させる。No.15 ダイナミック性 対象の構造を維持しつつ操作を切り替える

建築パターンの番号・英語名はアレグザンダーの253パターン索引と照合。TRIZ原理番号は40原理の一覧に基づきます。

4. 3体系の共通性を考察する

この対応表から、特に重要な共通原理が見えてきます。

共通する抽象原理

ソフトウェア設計

建築・街づくり

TRIZ

分割と統合

Composite、Builder

No.95 Building Complex

No.1 分割、No.5 併合

階層構造

Composite

No.114 Hierarchy of Open Space

No.7 入れ子構造

仲介と接続

Adapter、Mediator、Facade、Proxy

No.112 Entrance Transition、No.30 Activity Nodes

No.24 仲介

共通化と資源節約

Flyweight、Singleton

No.38 Row Houses

No.5 併合、No.6 汎用性

変化への適応

Strategy、State、Bridge

No.146 Flexible Office Space

No.15 ダイナミック性

段階的構築

Builder、Template Method

No.208 Gradual Stiffening

No.10 先取り作用

情報の観察と応答

Observer

No.192 Windows Overlooking Life

No.23 フィードバック

複製と再利用

Prototype、Memento

No.38 Row Houses、No.104 Site Repair

No.26 コピー、No.34 排除と再生

最も重要と思われる3つの発見

第一に、「仲介」は分野を越えた普遍性の高い原理です。

ソフトウェアではAdapter、Mediator、Facade、Proxyなどが、オブジェクト同士の直接的な依存を減らします。建築でも入口、門、結節点、移行空間が異なる場所をつなぎます。そしてTRIZの第24原理は、まさに仲介要素を導入する発明方法です。

第二に、「構造と機能の分離」が柔軟性を生んでいます。

ソフトウェアのBridge、Strategy、Stateは、固定的な構造によって変更が困難になる問題に対処します。建築のFlexible Office SpaceやWall Membraneにも、同様に変更可能な部分を分ける発想が認められます。

第三に、「全体と部分の関係」が3体系を貫いています。

GoFのComposite、アレグザンダーのBuilding ComplexやHierarchy of Open Space、TRIZの分割・併合・入れ子構造は、いずれも部分と全体の関係を再構成することで複雑性を扱います。

これは、単に設計技術が似ているという話にとどまりません。分野を越えて反復出現する問題解決の抽象構造が存在する可能性を示しています。

5. 対応表を発展させるための提案

今回の23行の対応表は、さらに厳密な比較研究の出発点にできます。

その際、次の3段階を分けることが重要だと思います。

  1. 目的の類似:解決しようとする問題が同じか。

  2. 構造の類似:要素の分割、結合、階層化などの仕組みが同じか。

  3. 作用の類似:情報や物、要求が流れ、変化する仕組みが同じか。

例えばFacadeとMain Entranceは「入口を一本化する」という目的・構造の類似性が高いのに対し、MementoとSite Repairは「過去の状態を尊重する」という発想の類似にとどまります。したがって、両者を同じ強さの対応として扱うべきではありません。

また、アレグザンダーの253パターンは都市・建築・施工の具体的文脈に根ざしており、GoFの23パターンはオブジェクト指向設計、TRIZの40原理は技術的矛盾の解決に由来します。それぞれの元の目的を保ったまま比較することが必要です。

この比較をさらに進めるなら、23パターン × 253パターン × 40原理の対応関係を、目的・構造・作用の3観点で評価するという方法が考えられます。

そうすることで、単なる3分野の類似語一覧ではなく、ソフトウェア・建築・発明に共通する「領域横断型デザインパターン」の体系へと発展させられると思います。

Excelパターン 3:ランキング

Excelシート 12種類のデザインパターン
https://xoblos.hatenablog.jp/entry/2026/09/19/183144

「Excelシート 12種類のデザインパターン」の第3回は、

パターン3:ランキング

です。

Excelで数値を扱うとき、単に一覧として並べるだけでなく、

「どれが大きいのか」
「どれが上位なのか」
「どこに差があるのか」

を知りたい場面は非常に多くあります。

そこで便利なのが、数値を大きい順、または小さい順に並べて順位を付ける「ランキング」のデザインです。


ランキングとは

ランキングは、ある基準となる数値でデータを並べ替え、順位を付けて表示する形式です。

たとえば人口データの場合、

  • 人口が多い都道府県

  • 人口が少ない都道府県

  • 人口が増加した都道府県

  • 人口が減少した都道府県

など、さまざまなランキングを作ることができます。

今回の人口データ編では、

1975年度から2019年度までの総人口の増減

を基準に、都道府県をランキングしています。

[画面ショット:人口データ編/パターン3「ランキング」]

表の基本構成は、たとえば次のようになります。

順位 都道府県名 1975年度 2019年度 増減数 増減率 地方区分
1 ○○県 … … … …% ○○地方
2 ○○県 … … … …% ○○地方
3 ○○県 … … … …% ○○地方

順位を付けることで、単なる数値一覧よりも、

どこが特に増えたのか

をすぐに把握できます。


「並べ替え」と「ランキング」は少し違う

Excelのオートフィルターを使えば、数値を大きい順や小さい順に並べ替えることができます。

それだけでも順位を見ることはできます。

しかし、ランキングのデザインでは、単に並べ替えるだけではなく、

「順位」という情報を表の一部として明示する

ことがポイントです。

たとえば、

都道府県 増減数
A県 1,250,000
B県 980,000
C県 750,000

という表よりも、

順位 都道府県 増減数
1 A県 1,250,000
2 B県 980,000
3 C県 750,000

としたほうが、

「A県が1位」

という情報が明確になります。

ランキングは、データを「比較結果」として見せるデザインともいえます。


販売データでは特に使いやすい

ランキングは、販売データと非常に相性のよいパターンです。

たとえば、

  • 商品別売上ランキング

  • 営業所別売上ランキング

  • 顧客別売上ランキング

  • 粗利ランキング

  • 販売数量ランキング

など、さまざまな切り口で作ることができます。

[画面ショット:販売データ編/パターン3「ランキング」]

販売データ編では、たとえば商品別の売上金額を集計して、

順位 商品名 売上金額 数量 粗利
1 商品A … … …
2 商品B … … …
3 商品C … … …

といったランキングにできます。

こうすると、

「どの商品が売上を支えているのか」

「売上上位の商品は何か」

を一目で確認できます。


TOP10に絞ると、さらに見やすくなる

ランキングでは、すべてのデータを表示する必要があるとは限りません。

商品数が100件ある場合に、1位から100位までをすべて表示すると、かえって重要な情報が埋もれてしまうことがあります。

そこでよく使われるのが、

TOP5
TOP10
TOP20

など、上位だけを表示する方法です。

特にグラフを組み合わせる場合には、TOP10程度に絞ると非常に見やすくなります。

ランキング表で詳細な数値を確認し、グラフで上位の差を見る、という組み合わせが有効です。


ランキングとグラフの組み合わせ

ランキングでは、棒グラフとの相性がよいのも特徴です。

たとえば、人口増加数の上位10都道府県を棒グラフにすると、

1位と2位の差が大きいのか
上位がほぼ同じ水準なのか

といったことまで視覚的に分かります。

表だけでは、

「1位は1,200,000、2位は1,150,000」

という数値の比較になります。

グラフにすると、

ほぼ同じ水準である

ことが直感的に分かります。

ランキングでは、

表=順位と正確な数値
グラフ=順位間の差

として使い分けると効果的です。


「何を基準に順位を付けるか」が重要

ランキングを作るときに最も重要なのは、

順位の基準を明確にすること

です。

販売データなら、

  • 売上金額

  • 販売数量

  • 粗利額

  • 粗利率

  • 前年比

など、基準によって順位がまったく変わります。

たとえば、売上金額が高い商品が、必ずしも粗利率の高い商品とは限りません。

そのため、

「商品ランキング」

だけではなく、

「商品別売上金額ランキング」

のように、何のランキングなのかを明確にしておくことが大切です。


大きい順だけがランキングではない

ランキングというと「1位が最も大きい」というイメージがありますが、実務では小さい順のランキングも重要です。

たとえば、

  • 売上が少ない商品

  • 達成率が低い営業所

  • 在庫回転率が低い商品

  • 人口減少数が大きい地域

  • エラー件数が多い処理

などです。

特に業務改善では、

下位ランキング

を見ることで、問題のある対象を見つけることがあります。

ランキングは、「優秀なものを探す」だけではなく、

改善すべき対象を見つける

ためにも使えるデザインです。


同順位をどう扱うか

ランキングを作る際には、同じ値が存在する場合の扱いも考える必要があります。

たとえば、

売上 順位
100万円 1位
90万円 2位
90万円 2位
80万円 4位

のように、同じ数値を同順位とする方法があります。

一方、

1位
2位
3位
4位

と必ず連番にする場合もあります。

Excel関数で順位を自動計算する場合には、

同順位をどのように扱うか

をあらかじめ決めておくことが重要です。


増減数と増減率では順位が変わる

今回の人口データのように、変化をランキングする場合には、

増減数

と

増減率

の違いにも注意が必要です。

たとえば、

人口100万人が120万人になった場合は、

  • 増加数:20万人

  • 増加率:20%

です。

一方、

人口10万人が15万人になった場合は、

  • 増加数:5万人

  • 増加率:50%

です。

増加数では前者のほうが上位ですが、増加率では後者のほうが上位になります。

つまり、

何をランキングするかによって、見えてくるものが変わる

ということです。


向いている業務

ランキングは、次のような用途に向いています。

  • 商品別売上ランキング

  • 営業所別実績ランキング

  • 顧客別売上ランキング

  • 粗利ランキング

  • 在庫数量ランキング

  • 都道府県別人口ランキング

  • 増減ランキング

  • 問い合わせ件数ランキング

  • Webページアクセスランキング

  • 作業時間ランキング

共通しているのは、

多数の対象の中から、上位・下位・特徴的なものを見つける

という目的です。


ランキングは「差を発見するExcel」

第1回の「オートフィルター固定」は、

データを探すExcel

でした。

第2回の「時系列推移」は、

時間による変化を見るExcel

でした。

そして今回のランキングは、

対象同士の差を発見するExcel

と考えることができます。

同じデータでも、順位を付けるだけで見え方は大きく変わります。

Excelシートを設計するときには、

「数値を一覧にする」

だけではなく、

その数値から何を発見してほしいのか

を考えることが重要です。

上位・下位を明確にしたいのであれば、ランキングは非常に分かりやすいデザインパターンです。


xoBlosのブログ 参考記事

03 ランキング表
https://xoblos.hatenablog.jp/entry/2023/04/13/122406

マスターデータを基本入力ファイルにしてみる (1)
https://xoblos.hatenablog.jp/entry/2022/09/08/132757

Designer:先頭の n 行のみを出力する
https://xoblos.hatenablog.jp/entry/2021/09/02/071527


今回のデザインパターン

パターン3:ランキング

特徴:

特定の数値を基準にデータを並べ替え、順位を明示する

代表的な用途:

売上ランキング、商品ランキング、営業所ランキング、人口ランキング、増減ランキングなど


次回

次回は、

パターン4:シート別分類

を紹介します。

年度別、部門別、営業所別など、同じ形式のデータを複数のシートに分けて整理するExcelシートのデザインです。

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