アルファベット「X」の起源と変遷史

DX(デジタルトランスフォーメーション)というキーワード、気になりますね。

X を(トランスフォーメーション)の意に使うところが更に気になります。

「X」という字(アルファベット)は、XMLのようにExtensible(拡張)の意で使われたり、 はたまたクロス(交差)だったり、未知だったり、変数だったりと、便利に略号化されやすい文字です。

  • x-section(クロスセクション、断面、切断面、横断面)
  • X-REF(=cross-reference)クロスリファレンス、相互参照(表)
  • X-crossing(スクランブル交差点)
  • x-factor(未知の人物)

そこで、アルファベット「X」の起源と変遷史について調べてみました。

 


アルファベットの起源は、楔形(くさびがた)文字とヒエログリフを組み合わせた、北セム文字であるとされています。北セム文字は、紀元前1500年頃に、地中海東部で使われていた文字であり、牛、家、扉、囲い、魚、目などを表す、22種類の基本文字がありました。

セム文字の中で、X(エックス)の起源となった文字は「taw」と呼ばれる文字であり、字体は「t」に近い十字の印を表した文字でした。字義も、何かに付ける印(しるし)を意味していました。

この「t」形文字が、紀元前1000年頃のフェニキア文字では、「x」のように斜めに交差する2本線になったようです。海洋商業民族であるフェニキア人によって使われた「x」文字がギリシア流入し、「キー」→「カイ」というKH音を持つ「X」文字になったとされます。

「X」は、ギリシアのある地方ではks音を表していました。このks音を持つ「X」ラテン語から英語に後から入り、どちらかというと余分な文字ながらも、組み合わせとして使われるKS音の文字として定着しました。

この「X」の変遷を見ると、英和辞典で「X」で始まる単語が少ないのもうなずけます。他のアルファベットと組み合わせて使用するために成立した文字とも言えます。

拡張マークアップ言語という意味を持つ XML(eXtensible Markup Language)ですが、Extensible(拡張)の象徴として「X」を使っているのは、なかなかうまいところをついていると言えます。