マウスが使えなくて表計算ソフトの原型は生まれた

先日、関数(INDIRECT、ROW、COUNTIF など)を駆使して他のシートセルを参照している Excelシートをメンテナンスする仕事がありました。

そのとき、参照される側のいくつかの シートのシート名を変更しなければならなくなり、シートセルの参照関係を直す一仕事が増えるかと思ったところ、シート名を変更した途端に、ブックの全シートセルの参照関係が自動的に調整され、 改めて表計算ソフトの威力、アドレスの威力を思い知らされました。

スプレッドシートソフト、表計算ソフトの原型となったのは、VisiCalcという製品だったとされます。

チャールズ・シモニーのライバルたち(その1https://xoblos.hatenablog.jp/entry/2020/12/28/071319

このVisiCalcをデザインした、ダン・ブリックリンの談話が本に残されています(この本は絶版となっているようです)。

 

引用文献:
「実録! 天才プログラマー」発行:アスキー出版局

『このプログラムは、いろんな進化過程を経たあと、VisiCalcになったわけなんです。(中略)

次に考えたのは、Z80をベースにしたマシン、それから、TVスクリーンのことでした。マウスを使えるようにすれば、さらにすばらしいものになるだろうと思いました。ところが、ハーバードの マシンでプロトタイプの作成にとりかかったところ、マウスが使えなくて、アドレスの仕方を考え出さなければならなかったんです。

で、「これを採用して、あれをやるにはどうしたらいいだろう。それとも、これを採用して、 それをあれにつけ加えようか」という問題に直面したわけなんですね。そこで思いついたのが、横列・縦列法というやつなんです。』

 

マウスが使えなくて、横列・縦列法アドレス(A1、J2、R1C1、R2C10など)が生まれたというのは興味深いところです。革新的なアイデアは、不便さから生まれたというわけです。